子どもへの告知 3
「残念ながら、リンパ転移してたので、武田さん若いから抗がん剤治療は絶対ね」
と、まさかのまさか。
いつもフランクな主治医が笑わなかった訳だ。
どうするこうする考えながら、翌日、逃げるように退院。
施設から帰宅した長女と憲宗とは抱き合って号泣の再会。
次女は「あー疲れたー」と、まるで山登りから帰宅したかのような反応(苦笑)
そんなおとぼけ振りに救われもしたが、さて、娘2人には伝えなければいけない。
今までは伝える必要がなかったが、抗がん剤治療を始めるとなると、そうはいかない。で、問題はいつ伝えるか?だ。
2週間後の月末には入院して治療が始まる。
その間に伝え、不安を受け止め、心構えをさせる。
カレンダーを見て、落ち着いて相手ができる休日を選ぶと。。その日しかなかった。
んな訳で、帰宅そうそう「告知」したのだ。
一度回復して元気な母親を見せてしまうと、緊張が途切れる。
術後で動けない今の状況で伝えたほうが、精神的ダメージも少ないと思った。
心がけたのは短く、簡単に。そして大丈夫なんだと伝えること。
憲宗が寝てから、静かな時間に娘二人を呼んだ。
手の届くすぐ近くに座らせ、三人で話をした
私「がんって知ってる?」
「うんわかる」と長女。
「テレビで聞くやつ?」と次女。
私「そう、それ。かーちゃんね、がんなんだよね。」
引きつる長女と、顔面蒼白の次女。
私「うん。でもね、大丈夫だから。ただ、ちょっと大変になる。抗がん剤治療っていうのをするから、大変にはなるんだけど、みんなに協力してもらわなくちゃならない。色々と手伝ってもらわなきゃいけなくなるんだけど、頑張れる?」
私「死んじゃうとか思う?」
娘二人「うん」
私「人間だから、みんないつかは死んじゃうけど、かーちゃん今は死なないから。大丈夫だからね。わかった?よーし、お手伝い頑張れー!」
そんなやり取りをした。
その後「どこのがん?」などと子どもたちに聞かれ、答えたり、術後の傷跡を見せたり、子どもたちの不安が大きくならないよう、その手や頬や体に触れながら話を続けた。
保健の授業のような内容で、そのうちがんとは関係ない話に脱線し、ほとんどが笑って話をしていた。
その時の私には、よくわからない根拠のない自信があって、子どもたちの不安は私が取り除けると思いこんでいた。
とは言え、失敗したなと思ったのは、子どもたち3人の写真の整理をほとんど全くしていなかったことと、自分の遺影となるような写真が1枚もなかったことだった。
写真整理。。実は今も手を付けていない。。。