ちゃんと今を生きてるかい?

耳が聞こえず言葉を持たない息子が教えてくれたこと。「未知数なぼくたち」絵会話アーティスト武田憲宗の活動や家族の日常を記録。金髪で、がんサバイバーの母ちゃんは気合を入れて子育て中。

憲宗の家出

正直、小さい頃よりは回数は減りました。
 
以前は食べたいものをリクエストする手段もなかったので、テーブルに並んだおかずを見ては「気に入らねー!」と、全裸で家を出て行って裏の交番のおまわりさんと帰宅することもありました。
納得出来ないこと、理不尽なこと、訴えられないことなど、色々あるたびに家出。。。
 
それしか表現方法がなかったんでね。
仕方ないです。
 
玄関ドアの前だったり、階段室の1階だったり、畑や隣のお家のかげ。時にエスティマの屋根の上とか。。裏の公園。電信柱の陰、近くの会館の横。。。
 
探してる私の頭の中は、山崎まさよし
 
♪ 裏の公園
♪ 電柱のかげ
♪ こんなとこにいるはずもないのに~ ♪♪
 
なんつって。
 
憲宗としては、絶対に迎えに来て欲しい訳なので、なにがあっても自分からは帰って来ません。
でも、見つけて欲しいから、決まった場所で待っています。
 
今回は、何度も注意しているのに、また自分で髪を切ってしまいました。
怒鳴りたいのを堪えて「今日は一緒に寝ません」と伝えたら、どうしようもなく辛い現実に向き合えず出て行きました。
 
それにしても、書き置きをしたのは初めてのこと。
どこで知ったのか、謎!
 
書かれた文字は 「たけだのりむね」 って。
これしか書けませんから(苦笑)
 
ドラマなら「探さないでください」ってことでしょうけど、憲宗の書き置きは訳すると「すぐに探しに来てください」。 なのです。
 
で、うずくまってる訳ですよ。
こんなに暗くて、寒いのに。。。
 
「おれはこんなにかーちゃんを好きなのにー!!」
って、涙いっぱいためて。
 
こちらも涙っす。
 
全身で体いっぱいに訴えられるのは、言葉で訴えられるより、痛いです。
 
 
年に2回くらい降臨するカリスマ美容師。
 
どうせ切るならうまく切れ!と言ってますが、腕前は上がらず。
身だしなみも大切なことなので、3歳ころから床屋さんに通っています。
 
「試されてるのは、ぼくのほうだよ」
 
なんて、憲宗を受け入れてくれる理解あるマスター。
 
そんなこんなで「バーバーのりむね」は廃業して欲しいんだけど、この不況にも持ちこたえちゃってるっていうね。