ちゃんと今を生きてるかい?

耳が聞こえず言葉を持たない息子が教えてくれたこと。「未知数なぼくたち」絵会話アーティスト武田憲宗の活動や家族の日常を記録。金髪で、がんサバイバーの母ちゃんは気合を入れて子育て中。

ネコ、サバイバルを生きる❗ 後編

猫の生態を全く知らない私達は、どうやって探したら良いのかさえわからない。

父ちゃんが数人の友人に相談すると、皆口を揃えて「今ごろキツネに食われてるだろう。生きていたら、それこそ奇跡だ」と。私達は厳しい現実を痛感した。

それでも「ネコは動き回らないから、同じ場所で待っているかも知れない。ネコと家族の匂いのついた物を持っていくと良い」とのアドバイスに、二日後、私は山に向かった。

 

その朝、うとうとする中で見た夢に「絶対に見付けられる❗」と確信を持ち、それでも、万が一を思うと涙が止まらなくて、運転中はずっと山奥にいるネコに話しかけ続けた。

「今行くからね❗ 生きて待ってて❗」

 

現地に着くと直ぐ、懐中電灯でコンテナの下を照らし、建物の隙間や草の茂み、大きな鍋の中も探した。

「ネコー」

「ネコー。一緒に帰ろー。ネコー」

何度も何度も呼び続けた。

どのくらい経ったかな。

暫くするとどこかから小さな小さなネコの鳴き声。

 

「ニャー」

 

空耳じゃない❗❗

生きてる❗ 近くにいる❗❗

「ネコ❗」

「ニャー」

「ネコ❗」

「ニャー」

何度も繰り返しながら声のする場所を探し、法面を登って背丈程の草をかき分けると。。。小さなネコがひっそりとたたずんでそこに座っていた。。。(涙)(涙)(涙)

 

直ぐに抱きしめ「ごめんね。ごめんね。生きててくれてありがとう。一緒に帰ろう。」と語りかけると、それに答えるように頭を擦り付けてくるネコ(涙)

あんな大雨だったにも関わらず、体はきれいなまま、傷もない。

首輪が無いのはなぜ?

何者かに襲われて、命拾いしたのだろうか。

ちょっと痩せたのが痛々しい。

札幌までの帰路は、ずっと私の膝から離れずに眠り続けた。

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疲れたよね。疲れ果てたよね。

お家に帰ろうね。

 

 

命懸けで、大切な事を教えてくれたネコ。

家族の一人一人がメッセージを受け取りました。

改めて小さなネコからいのちの大きさを学んだ武田家。

ある日突然やって来たこの子は、天からの授かり物。相応しい飼い主にならなければと、家族で心に誓いました。

生きててくれて、ありがとう。

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