⑦ 術後
看護師さんの声で手術が終わったことを知る。
酸素マスク。体のアチコチに上からも下からもチューブが入っているのがわかるが、そのまま深い眠りに落ちた。
目が覚めたのはいつだろう。
私は一人だった。
この入院はほんの数人の友人、知人にしか伝えていなかったし、夫に仕事を休んでもらうことは私自身が望まなかった。
この病院のケアが完璧だと、過去三度の出産で知っていた私は何の不安もなかった。
T先生は事情を察して、家族が付き添わないことを深く聞くこともなく、黙って頷いてくれた。
ベッドサイドの電話が鳴り、看護師さんが受話器を取ってくれた。夫に手術が終わったことを知らせるのだが。。。
力が入らない。
さっきまでチューブが喉に入っていたせいもあり、声が出ない。
やっとの思いで
「後は。。。傷の痛みは日薬だから。。。」
と伝えたら
「えっ!? 胃薬?大腸なのに胃薬?」
と、騒いでいる夫。
日薬知らんのか?
面倒くせ。説明する気力もなく「じゃぁ」っと、電話を切った。
一人で手術を受けて良かったー。
そばにいたら、もっと面倒だったかも。