ちゃんと今を生きてるかい?

耳が聞こえず言葉を持たない息子が教えてくれたこと。「未知数なぼくたち」絵会話アーティスト武田憲宗の活動や家族の日常を記録。金髪で、がんサバイバーの母ちゃんは気合を入れて子育て中。

③ 内視鏡手術

子ども達を知人にお願いして、1泊の入院。

ラッキーな事に腕の良いM先生に診てもらえた私は、前回の内視鏡(大腸カメラ)で何の苦痛もなかったため、今回の内視鏡手術にもなんの不安もなかった。

そうして、悪性腫瘍の大きさや私の生活状況を配慮して、入院しての手術だった。

リラックスした状態で内視鏡での切除手術。パチンコ玉みたいなポリープを見て、頭の中で軍艦マーチが流れているうちに手術は終わった。

 

麻酔でぼーっとしている私を迎えに来てくれたのは、偶然にも顔馴染みの看護師さん。

初めて大腸カメラ検査を受ける私に、まるで母親の様に、検査食の作り方を教えてくれた彼女の顔を見ると、ホッとした。

 

「まん丸のポリープだったの」と、私が言うと、「それは良かった。いびつな形よりもきれいな丸の方が、なんだか気持ちが良いじゃない。」

そう言って、二人で笑いながら病室に戻った。

 

この日も次の日も、日ごろの寝不足を補うかの様に私は昏々と眠っていた。

数年ぶりに自由な時間が出来るのだからと、抱えて行った本には全く手を付けることも出来なかった。

 

自宅に帰ると、知人が子ども達を連れて来てくれた。

一晩離れると言うことをきちんと伝える事が出来なかったため、胸いっぱいに不安を抱えた幼い憲宗の頭には、円形脱毛症が出来ていた。

ごめんね。。。

 

後日行った床屋さんでは「お兄ちゃん、心配事があったんだねぇ。」と言われ、私の胸はチクッと痛んだ。