ちゃんと今を生きてるかい?

耳が聞こえず言葉を持たない息子が教えてくれたこと。「未知数なぼくたち」絵会話アーティスト武田憲宗の活動や家族の日常を記録。金髪で、がんサバイバーの母ちゃんは気合を入れて子育て中。

牛乳パックとウォーキングマシン 前編

なんすか?

なんの共通点もないこの2つ。

そう、実はこれ、今の憲宗を作った原点と言うべきアイテム!!

 

生後5カ月経っても首が据わらなかった憲宗。でも、この頃は聞こえていたから、ケラケラと良く笑う子だった。

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7か月、8カ月になっても、もちろん一人で座ることは出来ない。

でも、なぜか不思議な寝返りは出来ていたし、壁やソファーを蹴って角度を変え、自由に家の中を移動していた。

台所に立つ私の足元に来て、くるぶしをかじったりもしてた。

赤ちゃんが一人でも座れるよう、空気を入れるコの字型の浮輪のような便利グッズが売られてはいるものの、体に合わず、と言うか健常児に向けて作られているそれは、極端に筋力の弱い子には全く意味のないものだった。

誰かが支えていなければ、床に寝ころんでいることが多い憲宗。しかも、首を上げれないため、うつ伏せにはなれないので、常にあお向けでいる。

世界を縦に見ることが少ない状況は、この子の今後にどう影響するのだろう?と、漠然とした不安が私を襲っていた。

この状況を変えることが出来るのは、自分しかいない。

極力背中におぶるようにはしていたが、それはそれで憲宗の自由を奪う。

しかも、次女は2歳になったばかり。毎日の忙しさに背負っている憲宗の存在を忘れて

「憲宗どこーーーーーー!!」

と、叫んでいたのも、この頃のことだ。

 

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体を支えられないので、ベビーカーでは隣の女の子に寄りかかる。

 

そんな時、保育士経験のある知人が教えてくれたのが牛乳パックのイスだった。

雨の日のスーパーで傘を入れる細長いビニール袋に砂を詰め、それを牛乳パックに入れる。同じものを9つ。

3段に重ね、コの字のイスを作るのだが、幅は憲宗の体に合わせて調整。そもそも牛乳パックだから簡単に切ることが出来る。

 

話を聞いたその日から牛乳パックを集めた。

こういう時は建築屋って良いな~なんて思いながら、資材置き場から左官砂を調達。

ビニール袋は、近くのスーパーから「ごめんなさい」して、材料は揃った。

 

そして完成に歓声~♪ 

けっこう重いのねー。

 

が、この重さが良かった。

浮輪のような軽さでは体重に負けてしまうのだが、これは安定。

超のつく安定。

3段と言う高さが、これまた肘掛のようでちょうど良い!

 

1歳を迎える少し前に完成したこの魔法のイスは、劇的に私たちの生活を変えた!!

 

そして、私の希望で始まったリハビリ。

初日に担当だったPTの課長さんにこのイスの話をすると、私が驚くほどの驚きようで

 

「お母さん!!お母さんのしたことは、凄い事だよ!!」

と、大絶賛してくれた。

てへっ(#^.^#)